名古屋地方裁判所 昭和61年(わ)1973号 判決 1987年1月30日
本店所在地
愛知県豊橋市豊清町字茶屋ノ下一五四番地の二
株式会社三洋技研
(右代表者代表取締役 長谷川邦夫)
本籍
富山県新川郡宇奈月町下立一一五六番地
住居
愛知県豊橋市豊清町字茶屋ノ下一五四番地の二
会社役員
長谷川邦夫
昭和一四年八月一九日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官飯塚和夫出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社三洋技研を罰金一五〇〇万円に、被告人長谷川邦夫を懲役八月にそれぞれ処する。
被告人長谷川邦夫に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社三洋技研(以下、「被告人会社」という。)は、肩書地に本店を置き、プラスチック加工機械・木工機械・軽金属加工機械の設計・製作・販売などを目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人の長谷川邦夫(以下、「被告人」という。)は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外し、別途設けた被告人あるいは被告人会社名義の銀行預金口座に入金するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和五七年九月一日から同五八年八月二〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二一六八万二〇二九円で、これに対する法人税額が八一〇万九〇〇〇円であるのに、同年一〇月二〇日、愛知県豊橋市前田町一丁目九番地の四所在の豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六九万六一七九円でこれに対する法人税額が一七万一四〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額七九三万七六〇〇円を免れ、
第二 同五八年八月二一日から同五九年八月二〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が七五七万三四三〇円で、これに対する法人税額が二三二万二〇〇〇円であるのに、同年一〇月二〇月、右豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一五万〇六〇七円で、これに対する法人税額が六四万〇九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一六八万一一〇〇円を免れ、
第三 同五九年八月二一日から同六〇年八月二〇日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が八七三六万四七八〇円で、これに対する法人税額が三六八二万〇二〇〇円であるのに、同年一〇年二一日、右豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七二〇万一八七一円で、これに対する法人税額が二二〇万七九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額との差額三四六一万二三〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書
一 被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通
一 長谷川れい子の検察官に対する供述調書
一 長谷川れい子の大蔵事務官に対する質問てん末書七通
一 大蔵事務官作成の「脱税計算書説明資料」と題する書面
一 検察事務官作成の「報告書」と題する書面
一 登記官今井清作成の登記簿謄本
判示第一の事実について
一 大蔵事務官作成の「証明書」と題する書面(ただし、その第一丁表左上部に「記録証第八二号」と記されているもの。)
一 大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(ただし、その第一丁表左下部に「記録証第一八五号」と記されているもの。)
判示第二の事実について
一 大蔵事務官作成の「証明書」と題する書面(ただし、その第一丁表左上部に「記録証第八三号」と記されているもの。)
一 大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(ただし、その第一丁表左下部に「記録証第一八六号」と記されているもの。)
判示第三の事実について
一 大蔵事務官作成の「証明書」と題する書面(ただし、その第一丁表左上部に「記録証第八四号」と記されているもの。)
一 大蔵事務官作成の「脱税額計算書」と題する書面(ただし、その第一丁表左下部に「記録証第一八七号」と記されているもの。)
(法令の適用)
被告人らの判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告人については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金を合算した金額の範囲内において罰金一五〇〇万円に、被告人については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において懲役八月にそれぞれ処し、被告人に対し同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 宮平隆介)